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エホバの証人脱塔者のたどるステップの一例

"A Life cycle of Detoxifying curse of Watchtower"

脱塔者のたどるステップのモデル

以下の図は私が考える脱塔者のたどるステップの一例です。これが全員にあてはまると言っているわけではなく、あくまで私自身と周囲の方から見聞きした経験に基づく私見です。


実際には、人によって辿る過程はさまざま

エホバの証人をやめた人々のSNSを見ると、皆発言のトーンや姿勢が様々だが、
 私はそれをその人の強さ・弱さではなく、それぞれ今居る脱塔ステータスがばらばらだからだと思っている

ある人は毒を次々と吐いていたり
ある人は淡々と思いつくままにJW教理の矛盾をつぶやいていたり
ある人はJWに関係ない書き込みが増えていたり
ある人はまったくSNSに姿を見せなくなっていたりする

 「辞めたくせにいまだに愚痴ばかり言っている」という批判をたまに目にするが
その人はたまたま毒吐きのステータスに居り、その期間が長引いているのである(と思う。)

それに、過去の苦悩を整理し、今後の問題を洗い出すためには踏まなければならない過程がある

攻撃的になったり、愚痴を延々吐いていたりする時期も立ち直りのためには必須なのである(と思う。)



STEPX~Xが同時進行している、という方もいらっしゃると思います。私もそうです。
殆どの人は上の絵のように、各ステップを順序よく辿るわけではなく、もっと複雑な過程を経ていると思います。
実際には以下の図のように上がったり下がったりを何度も往復しながら、徐々に方向性が煮詰まっていく感じかと思います。

私の場合、2と3は何度も落ちて繰り返しており、一番つらい時期でした。
現在ではやっと2に落ちることはなくなりましたが、3はいまだに繰り返していると思います。







ツイッター投稿まとめ:エホバの証人の辛い経験は果たして役に立ったのか

エホバの証人の組織内での経験、たとえば「神権宣教学校」が後の人生の役に立ったという話を時々見ます。
しかしそれ、本当にものみの塔の組織が与えてくれたものなんでしょうか……?

以前は疑いもなくそう思っていた私も、今では否定します。
それはご本人のもともとの素質、才能だと考えます。


エホバの証人でなかったら、本当にそんなに"すらすら講話ができ"なかったのでしょうか。
エホバの証人でなかったら、本当にそんなに"漢字の読み書きが得意"でなかったのでしょうか。
社会人になりそうした能力が必要になったとき、「神権宣教学校」を受講しなければその能力は発揮されなかったのでしょうか。

そんなことはないはずです。

まだプレゼン力や漢字の読み書きが必要とされない幼少時代のうちに、「神権宣教学校」によってその能力が早期に引き出されたというだけの話だと思います。

そのような能力は元々あなたが持っていた素質であり、就職後など、必要になればきちんと自分の力で発揮できていたはずだと私は考えています。


もしかしたら、長期に亘って苦労したエホバの証人時代の経験を無駄にしたくないという心理が、私たちにそんなふうに思わせるのかなあと、考えています。













現役を覚醒させるのは私の使命なのか、それとも驕りなのか

※この記事のツイートはすべて私見です。
























ツイッター投稿まとめ:現役時代の、大失恋の話










































子供の魂:親に隠れてでも、やっていたこと

今回は、親が必死に子供の人生を方向づけようとしても、結局親に子供の思想は変えられないことについて書きました。




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エホバの証人2世だった私には、子供時代から働きはじめるまで小遣い制というものがなかったので「世のならわし」を仕入れるのに苦労しました。
友達経由で漫画投稿したり、「世の」音楽を入手していましたが、いずれにしても多少の金がかかるのでいつも数百円を工面することばかり考えている悪しき中高生JW(しかも洗礼(献身)済み)でした。

漫画絵の投稿はたいていアニメディアでしたが、載った号を購入するには380円(?確か)が必要でした。
音楽のほうは深夜聞きまくっていたラジオを録音する膨大な量の記録媒体とか、友達に借りたカードでレンタルCDを入手する数百円がいつも必要でした。

で、カネを工面する方法なのですが

小遣い制度はないものの、祖父母の家にいくと毎回「へんな宗教のせいで不憫だから」と小遣いがもらえました。
しかしこれは基本的に全額JW母が没シュートします。
ところが「読みたい本が」「服が古くなった」など具体的な使途があればいくらか子供の手元に残しました。

こういうイレギュラー収入で得たカネで買い物をし、釣り銭でうまく差額を発生させ、母親の把握していない金額を作る、つまりマネーロンダリングして数百円を生み出していました。


高校のとき小遣い管理が厳しくなり小遣い帳をつけさせられた時期があり、この時はかなり苦労しました。
結局、じいちゃんにもらった小遣いから、親に渡す前に500円抜いておくという、良心の痛む方法を取らざるを得ませんでした。


抜いたカネは押し入れ上の天井板を剥がして屋根裏に隠していました。
購入したアニメディアとかもです。


※これらは社会人になって忘れた頃に母親にみつかりました。
また発狂されるかと肩をすぼめましたが、意外にも母は怒りませんでした。
「こんなところから……なんか……でてきた……ね……(´・ω・`)」
みたいな感じで、恐らく子供への過度な規制が招いたことなのね……、と悟ったような珍しくしょんぼりした態度でした。
知るか。


アニメのビデオ予約してくれたり、レンタルのカード貸してくれたりとか、漫画投稿のため住所貸してくれたりとか、中高生のときの(世の)友達にはずいぶん助けられました。
「サタンの体制に染まった」世の人々に大変めぐまれ、今の私があります。


何が言いたいかというと、多分当時の私はあれだけ規制しまくられていてもああいうことがやりたくてたまりませんでした。
そしてそれらの活動を絶対に親に見つからないという自信がありました。
そのくらい念には念を入れめちゃくちゃ注意していました。
それから、たとえ見つかったとしてあらゆる手をつくして隠れて続けたと思います。


で、結論なのですが、子供はある程度知恵がついたら、物事を規制・強制することで思想の根本を変えさせることは無理です。
若い人間のリビドー(ここでは性欲ではなく)は、それを忘れた大人の想像のナナメ上を行く激しさで、その表現欲や渇望はものすごい圧力でさからえません。信じられないパワーで目標を達成しようとします。


なんとしても実現するときにはもう、その子の核にはエホバの教えより大事なものがあるのです。
エホバの教えがもともと根ざす苗床ではなかったということです。
これは親の育て方の問題ではなく、その子供の本来の姿なのだと思います。

多分それをダメだと取り上げたりするならば、必ず何らかの形で問題が発生するでしょう。
ケンカ、うそ、不和、不機嫌、反抗、嫌悪、八つ当たり、隠し事。

親が教育や鞭でもって子供の自己まで変えようというのは越権だと思います。

教育やしつけは、何者にも騙されないで済むように、また限られた人生をより効率よく使う方法を伝授することにすぎないと思います。

子供と言えど単独の人格であり、親のクローン人形ではない。アナタが腹痛めて産んだかもしれないが、懐痛めて育て上げたかもしれないが、子供はアナタとは別の人格であって、アナタに人格のクリーンインストールを任せているわけではない。

それの証拠に、親は子供よりも先に、または子供とは別に死んで行く。
他者から解放された一個体なのだと思います。



永遠の命

フェードアウトを決め家から遠く離れ、一人の生活を切り開いた頃、それまであんまり具体的に考えようとしなかったあることに脳内で焦点を合わせるようになった。


“あー、、やっぱり私もいつか死ぬんだなあ”


子供の頃から「永遠の命」の教えをずーっと何となく疑っていたけれど、それでいながら永遠の命にすがっているようなメンタリティだった。


“うわあ、、、このあっという間に過ぎる10年サイクルをあと5回くらい繰り返したら、
身体もガッタガタになって、いつ死ぬかと準備をするような年齢になってるんだなあ”

“疎まれながら世話されて、あの棺桶入って、参列者の時間をとって、あの焼却炉に入るのかあ。。”


と、それが本当に起きるんだとハッキリ考えるようになり恐ろしかった。そこまで具体的に考えたことがなかったから。


突然「永遠の命」の希望を失ったことに何年も苦しんだが、今はわりと解放されている。

核ミサイルの脅威があるから、Jアラートの音を認知しときましょうとか、シェルターが売れているとかひっきりなしにニュースでやってるんだけど、そんな目に遭うなんてものすごい確率だし、それにそんなものに巻き込まれてまで、あらゆる手を尽くして生き残ってなんになるかなぁ~と、考えている。

そんな心配したり準備しながらビクビクと生活するほうが時間の無駄。それに自分が死んだところで誰も困らないし、自分自身も死んでなんか困ることあるかなあ?と考えたとき、特に何もない。うちは家族もしっかりしてるからしっかり生きるし。

とりあえず、今生きている限りは、生きていくための金を稼ぐし絶対この生活は崩さないし、ひとの迷惑にならないように生きる。そこは心に誓っている。


以前同人誌なかまに奨められて読んだ漫画の、湧太という主人公にめちゃくちゃ憧れる。
この主人公は人魚の肉を食ったがために永遠に生きなきゃならなくなり、どれだけ人生に飽々したり痛い思いをしても、人魚の肉の呪いゆえに死ねず、死ねないことに苦しみながら生きている、という設定。
しかし人魚を食った当時の若さのままで永遠に生きるという設定なので、私にとっては本当に理想的な永遠の命。


元エホバの証人のSNSを見ていると「永遠に生きてどうすんだよ」みたいな人、たくさんいるのだけど、私は肉体が若いのならば好きなだけ永遠に生きたいなあ。
戦争時代、超AI化社会、氷河期とかに、人がどんなふうに生きるのか体験したいし、いろんなやつと付き合いたいし、バックパッカーでもっといろんなところに行く。
寝ることと、何もせず時間をムダにすることが好きなので、永遠に時間をムダにするわぁ。


人魚の森 高橋 留美子 @amazonJP(アフィリンクではありません。単純なリンクです。)


ツイッター投稿まとめ:二世の怒りの原因-「失敗経験」と「選択」の剥奪




参考サイト:Books&Apps「モチベーションは成功体験によって、テクニックは失敗体験によって育つ。」 blog.tinect.jp/?p=38164





この記事のまとめ

ツイッター投稿まとめ:循環論法と思考力のマヒ

ツイッター投稿まとめ:不幸の意識-認知のゆがみ

ツイッター投稿まとめ:上京時のこと




ブラックな派遣元でしたが、そうは言うても、結構経済的には恵まれたと思います。
しかし東京都で生活するにはやりくりに気をつけなきゃなりませんでした。やっぱり首都圏はお金がかかります。




ちなみに、派遣元への勤務報告の際に添付した連絡用紙が出てきた。
出張にかかる交通費もすべて自腹だったことが切実に訴えられている。(´;ω;`)

さらに当時の金銭計算メモと思われるものも出てきた。
金銭感覚もない上に料理するような時間もなかったため食費が結構かかっている。
そして娯楽費とおぼしき、「娯 400円」・・・w
なんなのかしばらくわからなかったのですが、コレ、多分TSUTAYAのDVDレンタルかな?(笑)娯楽月に400円て・・(´;ω;`)w



おかね

今日にわかに、はっきりと認識したことがある。

以前ブログに「未信者との子供作って、久々に記念式にあらわれた開拓者の娘が大歓迎されていたのが解せない」というような記事を書いたが、

やっぱりお金よね。
今考えると、あんなちっぽけな会館でも運営には結構カネがかかる。建物だし、何十人もが使うわけだし。

それを鑑みると、うちみたいな未信者父がいて寄付がろくに出せないような家なんかが優遇されるわけがない。

多少ルールに反しても優遇されたのはやっぱりお金持ちの家だ。思い返せば全員たがわず。

当時の自分はそんなことあり得ないと、はなから考えないようにしていたが、今にわかに認識した。

大いにあり得る、というか、金銭的に会衆を大きく支えてる家族をぞんざいに扱えるわけがない。

逆に会衆内で優位に立ちたいなら、カネにモノ言わせりゃいいんだ。
JW一世で世俗によく通じてる主婦なんかは当たり前の感覚だろう。

建て替えのときも、きっと何百万も出してるのね。

なんでこんなこと、いままで認めなかったんだろうな自分。
二世の一般的感覚の持ち合わせなさは、相当根が深いと思います。

脱会できない二世が甘えていると言われる

二世として暮らしていると、学校や職場などで、

大変ね、つらくないの

というようなことを言われた。

正直しんどい、制限が多くてつらい

というようなことを漏らすと、決まって

なんでバイトして家出ないの?
親に黙ってバイトすればいいじゃん
お父さんに頼んで、大学行かせてもらえば?
20歳すぎてるんだから、勝手に就職すればいいのに
20歳すぎてるんだから、自立すれば?
20歳すぎてるんだから、自分で決めて好きなところにいけば?
20歳すぎてるのに、なんで家出ないの?

という反応が返ってくる。


甘えだ、自立するのが怖いんだぁ、親に養ってもらってラクしたいんだぁ、
と誤解されるのはしょうがないだろう。
たぶん洗脳というやつは、経験した人でないと絶対に理解できないと思う。


現に私は、洗脳に気付き、自分の人権を侵害されているのに気付いてからは、遠く実家を離れる計画をし、すぐに実行に移し、社会や会社のしくみを一から恥ずかしい思いを毎日しながら自らに叩き込み、正規雇用の立場をついに得た。

本当に甘えていて、自立が怖かったのなら、成人後もそのような生活を送っていたのを痛みをともなうのがわかっていてやめるはずがない。
私は身をもってそれを証明した。


甘えていたから家を出られなかったのではなく、そう出来なかっただけだ。
チャンスはもちろんなく、それよりなにより、それを実行する手がなかったし、知識を得る方法を完全に断たれていたからだ。



塾に行くこと(進学に縁を与えない)
友達と買い物に行くこと(社会性を身につけさせない)
収入を得ること(独り立ちさせない)
雑誌、漫画、テレビ、映画、ゲームの禁止(余計な知識を身につけさせない 憧れ、目標、野望や欲求を抱かせない)
音楽、服装を監視する(流行に乗らせない 男女の縁を与えない あえて一般の人から差別されるように仕向ける)



子供のころ、楽しみにしていた学校行事が近付くと、エホバの証人である母親の機嫌が突然悪くなり、原因がわからず苦しんだ。
時間がたった今はわかる。
学校行事が近付いて、子供が社会とべったり交流する機会を得てしまうからだ。
自分の手を離れ、余計な知恵をつけてしまうことに恐怖を感じていたからだ。

とくにひどかったのが修学旅行の前だった。
つまらないことで

”反逆した!”

とキレはじめ、とうとう

”明日は(修学旅行など)行かなくていいからねやめなさいお金出さないから”

とまくしたてて脅す。
お小遣いなど一銭も与えられなかった私は、修学旅行をただ取り上げられ、なすすべもない。
目の前でスポンサーがキレている。ああ、終わったな。

そのほか、母親の機嫌をそこねてしまうと、"聖書の出版物"を開いて夜中の1時2時まで延々といびりが続いた。
私は次の日起きられず遅刻するのが怖かった。テストに影響が出るのが恐ろしかった。

食事も禁止された。その他、衣食住にかかわる一切のことを母親は放棄した。

普段は私ら親子三人を虐待する父親の食事はきちんと作ってならべる。
それを見せつけ、普段はいがみあうだけの夫婦のくせに気持ち悪いくらい仲良くしながら、

”悔い改めるまでは、一切あんたの世話はしない”



こういう出来事は月に何度も発生した。
学生時代は小遣いなどなかったため、自前で食事やその他生活費を工面できない。
冷蔵庫内のものは

”あんたたちの物ではない さわるな”

である。



じゃあアルバイトして稼いでおけ??
出来たらとっくにしたわ。

帰宅時間の理由や、買ってきたもの、誰とどこで何をしていたかをきっちり管理されているのだ。
ばれずに行動できる時間や場所などない。

じゃあ反抗してでもなんとかしろ?
出来たらとっくにやったわ。

怒り狂うとどこでも追ってくる人である。他人が見ていようと、家族が恥をかこうと。
反抗することは、周囲にとんでもない恥をかき、逆に自分たちの世界を狭めてしまうのだ。
アルバイト先も、おそらく大概のところはその状況を見れば即解雇するだろう。


誰かのところに転がりこめ?
一体誰のところに??誰が親のある他人の子を養ってくれるのですか?
それと、一銭も金がないのにどうやってそこまで行くんですか?誰が恵んでくれるんですか?助けてくれる人をどういう手段で探し当てるんですか?



卑怯な手段だ。
世との交わりをもたせない、を理由に社会に出る手段を禁止する。
衣食住、そして生活を盾にとり、服従を要求する。卑怯なことこの上ない。



私が社会とリアルな接点を持てたのは、インターネットとの出会いがきっかけだった。

就職の仕方、
ハローワークのこと、
まともに全時間働けば、20万円くらい収入を得られること、
水道・光熱費がどのくらいかかるか、
食費は一人どのくらいが適当なのか、

雇用保険のこと、
銀行の使い方、
役所の手続きの仕方、

ネット上で顔もしらないような遠くの人と交信できること、
ネット上に求人がのっていること、

ネット上で賃貸物件が探せること、
4万円もあれば、安全できれいな部屋に住めること、

夜行バスに乗れば安く移動ができること、
素泊まりで5000円の、安全できれいなホテルがあること、



ここから私の人生がスタートした。
私はこんなこと全部できる。と思った。



私はひとりで絵を描いたり、好きな男と遊んだり、休日には家にこもって大音響で好きなロックをかけておいしいものを食べたい。
自分の収入を好きに使って生活を成り立たせたい。

と思った。


思ってから1年で、開拓奉仕のかたわら月数万円のパートの収入をため、就職・引っ越し費用を作った。
職業訓練校の制度を使い、補助金をもらいながら東京で生活する手配をした。
訓練校の該当コースの試験も突破した。


コースの入学日が確定したところで、同時に就職活動をはじめた。
一社目で内定を取った。
訓練校はこの時点で不要となったため、辞退届をした。


初出社までの5日間で引っ越しをするよう指示され、マンションの内見・契約と、役所関係、銀行、インフラすべての手続きを5日ですませた。
引っ越し費用と物品購入で、ちょうど貯金は手元に生活費を残して消えた。

派遣での仕事を数年経験したあと企業に正社員として入社。



私は自分がビビッてはいなかったことを証明した。








過眠症 絶望から逃げる行動

高校生の頃から私は過眠症をわずらっている(わずらう、というほど大げさな言い方はふさわしくないと思うが)。

眠るべきでないときに眠気が襲ってきたときはつらくてたまらない。
去年の前半はそれがかなりひどく、検査入院までした。
診断結果の際、確かに「過眠症」の症状だが、病的なものを原因としないため対策法が難しく、はっきり申し上げて打つ手がない、といわれた。
欝だの、精神面での健康問題が認知されるようになった昨今、こういう人は多いそうである。

私のばあいは高校生のときからであるが、どういうときに「過眠」とたたかっていたかって、エホバの証人の集会にきまっている。
はじめの祈りが終わり、あのもったりとした、シンとした、なにかに押し潰されたような時間がはじまる。
10分とたたないうちに、いくら十分睡眠をとっていた日であっても眠気はおそってきた。

席が前のほうだとほんとうにしんどかった。後の席の目を気にするからである。
また母親はヒス気味なので、少し頭がコクンとするとこづいてくる。機嫌の悪い日はまわりに聞こえるように注意する。

どんなにはずかしい目にあっても、私の居眠りは、集会への出席をやめる27才まで治らなかった。


私は20代のなかばにさしかかった頃、これが単なる怠惰の眠気でないことに気づいていた。
あまりにも病的な眠気のおそいかたに、なんとなく恐怖していた。

これは自分の身体の、逃避行動にちがいないと思っていた。


集会中、ハッと目がさめることがある。
それは「ものみの塔研究」などの最中、自分たち若者への「禁止事項」が増える瞬間である。

※「ものみの塔」…エホバの証人の月刊宗教紙みたいなものです。「目ざめよ!」とセットになっていました。

「オルタナティブ ミュージックはふさわしくありません。」
「インターネットの用い方に注意していますか?」
「学校の友達から○○に誘われたら、ふさわしい行動をとれますか?」
「携帯電話を持つことはふさわしいでしょうか?」
「異性が(どうのこうの、ハイ、全部禁止)以下略」


ハッと目が冴える。
また増えたか。
なんかの罪状を言い渡されたような気分になる。

しかし、ほぼ20年間こんな集会に通って通って通い続け、あまりに刺激がなくなっていた頃である。

そうした通告を耳にするのが、いやなんだけれども、なんだか快感のような、
妙な感覚だった。

あのお堅い「ものみの塔」に”オルタナティブミュージック”だの”インターネット”だの
現代的な単語が並ぶことに違和感があった。
新しい号が出ると、今回はなにを禁止にされたのか、一番に探すのがある意味楽しみ(快感)になっていた。

開いて1、2秒で禁止事項のキーワードを発見できるようになっていた。


こんなふうに鬱屈した、ねじまがった、抑圧された若者時代、あんな週に三回、二時間もある説教集会のなにに希望があろう。
今の自分から思えば、幼年時代、少年時代、あの状況で身体がなんらかの拒絶反応をしめさないわけがないと思う。


後遺症は現在も続く。
仕事がひまになったとき、あの眠気がおそう。
��ひまで遊んでいるように見られてしまうのがたまらなく怖い)
マイナスイメージは絶対危険な立場であるにもかかわらず。
脳内にある種の絶望がみなぎってくると、あの眠気がおそう。


いつか、集会と伝道活動にささげた時間を計算したことがある。
卒倒するような時間だった。

あれだけの時間があれば、この世の幸せな普通の子供たちはどんな遊びに費やすのだろう。
どんなスキルをあげるだろう。
洋服をえらぶのも、じょうずになるだろう。
人との付き合い方も、たくさんまなべるだろう。


あの無駄な睡眠で、いったい私はなにを得たのだろう。

いや、
失ったのだろう。