少女時代苦しかったこと(2)高校時代 ファッション

高校時代、大恋愛をしていた。だから学校にいくときも、できるだけみんなみたいにおしゃれにしていたかった。
でも小遣いもなく、流行のものはことごとく排除されるため、みじめな思いしかできなかった。

高校時代は、靴は校則で規定のものがなく、自由に選んだものを各々履いていた。
わたしはみんなの履いていたadidasの3本のラインとロゴの美しさに惹かれ、すごく欲しくてたまらなかったが(20代になり知ったが、あのグリーンのラインはadidasのスタンスミスであった)、欲しいなんていえなかった。怒られてまた晩御飯があやうくなることや、説教で削られるかもしれない睡眠時間が怖かった。

当時、ブランドものの価値がよくわからなかったので、私はadidasではなくても似たようなスニーカーでいいから、みんなみたいにスニーカーを履きたいと思った。
こわごわ母親に頼んでみると、近くの中型スーパーの洋服売り場で2、3千円くらいでワゴンセールしている(泣)ものの中から選んでよいと言ってくれた。
一生懸命選び、2本のブルーのラインのはいった名もなきスニーカーを買ってもらった。とてもうれしかった。
明日からみなと同じかっこうができると。。。(スーパーで投売りされているような、2、3千円のオッサンオバサンが履くような小ダサいスニーカーで喜ぶ少女時代の私(泣))

ただ、洋服や靴を選ぶコツなんてこころえていない。
買って帰ったスニーカーは、実際に通学で履いてみると、少し歩きにくいような余裕がカカトにあった。。。


高校の坂を上りながら、「このスニーカーは新しいからまだなじんでなくて歩きにくいのだ」とあまりその妙な余裕のことは気にしないようにして、カポカポとさせながら歩んだ。
だが・・・

後ろに続く、隣のクラスの美人とその友人が私に聞こえる声で
「だっさ。大きくないですかあ~ どこのメーカーしかもあれ。 笑笑」

・・・めっちゃ傷つきました。ああ、なんだ、私これ買ってもらってよろこんでたけど、これ普通の人からするとダサいんだ。
ぜんぜんわからなかった。。。
傷ついたふうなど絶対にみせず、あらまあなんか言われちゃった~みたいな無邪気な態度で、相手をにらんだりもしない、あのころのけなげな自分がかわいそうだ。もし自分に娘がいたら、絶対絶対あんな思いをさせたくない。




高校三年、冬。
友人の教室を放課後訪れ、話をし、そのあと下校しようとしたが、その教室に手袋を忘れた。
グレーのモヘアの手袋で、たぶん今思うとデザインはよかったと思う。
ただ、モヘアである。「野外宣教」にも「集会」にも、通学にも自転車を使っていたので、てのひら側はぼろぼろに毛玉になってしまっていた。
例によって、買ってほしいなんていえなくてそのままだった。

教室に手袋を取りにもどると、才色兼備で人気者のMさんとその友人が教室にいた。
特に親しくもなかったので、特に声もかけず、手袋を手に取ろうとした。
後ろから二人の吹き出す声がした。振り返ると二人の視線は手袋にあった。

こんなことなら、手袋じたいをせずに学校にいくべきだった・・・と反省した。そのときは自分が「みすぼらしい手袋をせずに学校にいく」選択をしなかったことを責めた。


そうじゃない。エホバの証人の親らよ、
子供が"古くなってきたから新しい手袋を買って欲しい"といえるような家庭環境をなぜ取り上げるんだ。

今の日本を見てほしい。きちんとした身なりが通用する、それが常識の国である。
新しい手袋を買うことは、ぜいたくでも「世のことを追い求める」ことでもない。

子供はこんな小さな事件で深く傷つく。私はこんな事件だが、これはあとをひいた。
自尊心を非常に傷つけてしまい、大きく自信を喪失した、自分はダサい、ぶさいくで一般の人からみると笑える存在であると思い込んだ。

哀れみをさそって言っているのではない。本当に、そう思っていた。